留学生便り

 

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日本での237日 ―経験と印象―

2008年度日本政府奨学金
研究留学生
マルコ・ユスップ

 

 私は、日本政府による奨学金を得て、2008年10月より横浜で生活を始め、地元の大学で魚の養殖に関する研究をしています。研究テーマは、魚の養殖の環境への影響とマグロの成長への影響です。特に後者のマグロについては、日本食文化おいてマグロが重要な役割を担っており、2006年のクロアチア産養殖マグロの最大の輸出先が日本であったことも無視できません。魚の養殖プロセスを研究することにより、魚の種の保護や日クロアチア間の貿易関係の改善にも役立つかもしれません。

 


横浜国立大学環境情報研究院


三崎・マグロの競り市

 

 私の日本との最初の出会いは2年前の2006年8月で、それは日本政府の奨学金を授与される前のことです。その時は、東京、大阪、京都などの日本の大都市 を訪問し、日本での生活習慣や日常生活について基本的な知識を得ることができました。この日本との最初の出会いは、私にとって忘れることのできない経験で した。私は多大な期待を持って日本を訪れ、それが本当の事だと分かったので、クロアチアに帰国した後も、その印象や経験の思い出で胸がいっぱいになってい ました。結果的に、翌年4月に私は奨学金に応募することを決意しました。

 


鎌倉の大仏


新幹線

 

 本当に自分が奨学金を受け取ることができるのだろうかと不安に駆られながら、出発までに1年半を要しました。様々な事情で、日本への出発時期を遅い方の日程に選択したのがその原因です。その間、家族や友達のいる故郷から遠く離れた場所へ本当に一人で行くことができるのだろうかと自問自答していました。日本の文化は違いすぎて自分にはなじめないのではとか、地元の食事になじめないのではとか。このようなことを考えていると、自分には無理だとか、挑戦的すぎるのではと思うこともありました。そんなときは、日本に関する本をもっと読み、自分の好奇心を高めることにしていました。最終的に好奇心が不安に打ち勝ち、全ての挑戦に立ち向かう決意を固めました。

 


日光東照宮


浅草寺

 

 驚いたことに、私は既に日本の生活に溶け込んでいます。これまでに、大学の指導者や横浜国立大学の留学生センターのメンバー、さらには、環境情報科学科の皆さんから多くサポートを頂きました。私が到着することは事前に知らされており、生活に必要な手続き(市役所での登録や大学の登録など)も簡単かつ能率良く進められました。事務手続きの歯車は私の場合はとてもうまく動きました。また、私の受入先は、日本到着の当初より大変親切で建設的でしたし、学科の皆さんに開催して頂いた歓迎会など、私の留学に関わるless formalな面も言及せずにはいられません。

 今、私は、横浜国立大学の留学生用宿舎に住んでいます。この宿舎は最善の宿舎というわけではありませんが、バスルームと無料のインターネット環境の整った部屋があり、十分すぎる生活環境です。特に国際的で活気のある雰囲気の中、世界中の人(私の場合は、ブラジル、ガーナ、シェラレオネ、モンゴル、韓国、中国(ヨーロッパの国は省略しました))と会う機会が提供されます。

 日本の生活にすぐになじめた理由は他にもあります。お店やレストランでの質の高いサービス、時間に正確な交通機関のネットワーク、たくさんのお出かけスポット、毎日開催される様々な文化イベント等々。東京に比べると横浜はずっと静かな街で、町の中心部でも交通渋滞はあまりありません。人々は質の高い生活を求めており、他人のことに干渉してくることはありませんが、何か必要なときにはすぐに助けてくれます。外国人への支援のために全国的な活動をしている人もいます。

 


横浜・桜木町


横浜・三渓園

 

 日本のレストランは特に興味深く、交差点の角には必ずと言って良い程あります。寿司、ラーメン、お好み焼きなどを専門にした小さなレストランもあります。西洋風のもの、アメリカのファーストフード、イタリアのピザやパスタのレストランもあります。もちろん、バラエティに富んだ日本料理を提供するハイクラスの高級レストランもあります。

 日本で9ヶ月間を過ごしてみて、日本政府奨学金の受給はこれまでの私の人生の中で最も重要なできことであった、と私は結論付けています。新しい文化と出会い、素晴らしい場所へ訪問する大変有意義な機会を得ることができました。得られた経験はお金には換えられません。私自身の成長にとって貴重な足跡となることでしょう。

 

※本文はご本人の承諾を得て、当館にて、クロアチア語から日本語に翻訳したものです。