1月19日、嘉治大使は、ドゥンボビッチ・ペトリニャ市長と会談しました。

 ペトリニャ市は、クロアチア中部シサク・モスラビナ県にあり、2020年12月に同市を震源とするマグニチュード6.2の地震が発生し、大きな被害を受けました。嘉治大使は、ドゥンボビッチ・ペトリニャ市長からの招請を受けて、同市を訪問しました。なお、ペトリニャ市庁舎も被災したため、市長・職員は、地震発生時は身一つ・携帯一つで対応に当たり、その後、市内で唯一安全とされた建物を仮庁舎と使用しているとのことです(会談は同仮庁舎で行われました)。

 ドゥンボビッチ市長からは、ペトリニャ市は90年代の紛争で大きな被害を受け復興を遂げたものの、再び今次震災により大きな損害を受けた、余震が続く中市民は日々大きな不安を感じている旨説明がありました。市長は、人々がペトリニャで生活を継続できるように、長期的視野を持って再建に努めたいと考えているとのことです。また、ドゥンボビッチ市長は、クロアチアは震災からの復興に向けて経験や知識を必要としており、是非日本の知見を共有頂きたい、今回の会談が日本からの知見の共有に向けた第一歩となることを望む旨述べました。

 嘉治大使から、被災者に対するお見舞いとともに、日本人は東日本大震災の際にクロアチアの人々より受けた支援を忘れておらず、12月の震災に際しても、日本から多くのお見舞いのメッセージが届いており、トヨタ・アドリア社は赤十字と協力しての資金支援の他、救援のための車両を提供、マキタ社は工具等を供与した他、クロアチアとビジネス関係にある日本企業(千代田テクノル社、日本空港ビルデング、日本郵船社等)からも支援金が送られている旨紹介しました。クロアチアでマグロの畜養を行うカリ・ツナ社の神戸社長もお見舞いに駆けつけ、ペトリニャ市へ支援金を寄付した旨を報告しました。さらに、嘉治大使は、日本の専門的な知見をオンラインでクロアチアの関係者に共有する等の方法で、支援を行っていきたい旨述べました。また、日本が過去の大震災から得た教訓、防災教育や啓発を含めた日本の防災文化について説明を行いました。

 市長のご家族も子どもをかばって震災で倒れてきた家具で怪我をされたそうで、家具の固定を含め、災害への備えの重要性についても議論が及びました。

 

引用元:Ravnateljstvo civilne zaštite

 

 

損壊の最も激しかった市内中心部(左参考、震災直後の様子)には、交通規制があり入れませんでしたが、中心部以外でも損壊した建物が見られました(右)。

また、外見は崩れていないものの、内部で大きな損傷を受け、使用不可能となっている建物も多いとのことです。

 

 

 

ペトリニャ市長との会談の様子(左)、同市長より嘉治大使に感謝状が手交されました(右)

 

カリ・ツナ社の神戸社長より、ペトリニャ市に対する支援金寄付を報告し、ドゥンボビッチ市長より感謝状が手交されました。

 

 

 また、嘉治大使は、ペトリニャ市訪問に合わせ、同市マラ・ゴリツァ集落にある旧日本・クロアチア・UNHCR人道センター(通称「日本難民センター」)、シサク・モスラビナ県ジャジナの聖ニコラ・ビダ教会(12月の地震で被災・倒壊)を訪れました。日本難民センターは、25年前に日本の支援で造られたもので、今は閉鎖されていますが、当時は一万人を収容し、戦後復興に寄与しました。今度は震災後の復興にも日本が支援出来ればと思うのです。

 

 

 

旧日本難民センター(左)、ジャジナの聖ニコラ・ビダ教会(12月の地震で被災・倒壊)(右)

※旧日本難民センターについての詳細はこちら

 

 

【2020年12月のペトリニャ市を震源とする地震の発生とその被害の状況】

 2020年12月29日午後0時19分、クロアチア中部シサク・モスラビナ県のペトリニャ市(首都ザグレブから南東約50キロメートルに位置)を震源とするマグニチュード6.2の地震が観測されました。(その1分前には、マグニチュード4.2の地震が観測されました)。この地震はクロアチア全土のみならず近隣国でも感じられたほどです。その前日にもペトリニャ市を震源とする地震(最大マグニチュード5.0)が複数回観測されていました。

 

 今回の地震による人的被害に関し、現時点では、死者7名、負傷者24名と発表されています。その他、救出活動中の事故により男性1名が亡くなったほか、4名の消防士が負傷しています。一番被害の大きかったシサク・モスラビナ県では、人口約17万2千人であるのに対し、約6万6千人が直接被災したと報じられています。また同県では、2万2千件以上の建物が損傷し、31の学校及び全ての教会が損傷を受けているとのことです。そのほか、ザグレブ県では1000件以上の建物の損傷が、カルロバツ県では約300件の建物の損傷が報告されています(1月4日の各県知事の報告)。また、ザグレブ市においても、外務・欧州問題省や国防省の建物を含む一部建造物の損傷が報告されています。