11月18日,井出大使はブコバルでの紛争犠牲者追悼式典に参加しました。
1991年夏に始まったブコバルでの激しい戦闘は,同年11月18日にブコバル陥落で一つの節目となりました。この戦闘で数千名が命を落としたと言われます。
この日の追悼式典は全ての紛争犠牲者を追悼するものであり,ブコバル市主催の式典ですが,国レベルの行事と言えます。ヨシポビッチ大統領,ミラノビッチ首相,プシッチ第一副首相兼外務・欧州問題相はじめ多くの閣僚,プポバッツ議員(セルビア少数民族政党の代表,議会外交委員長),与野党指導者,20名以上のザグレブ駐在大使,多くの市民が参加しました。
最初に市総合病院(注1)で追悼の合唱が行われ(写真1),その後皆で約1時間半行進し(写真2),記念墓地で献花をしました(写真3)。その後車で移動してオブチャラの集団墓地(注2)近くの慰霊碑で献花をしました(写真4)。
ブコバルではセルビア系住民が人口の3分の1以上を占めるため,公的看板などにラテン文字とともにキリル文字も使うことになっていますが,これに反対する退役クロアチア軍人達が抗議活動を行い,昨年の追悼の行進は妨害され追悼行事の一部が予定どおり行われませんでした。本年についてはそのような妨害はなく,予定通り行事が行われました。
(注1)戦闘中は市総合病院に対しても砲撃が行われ,ブコバル陥落後には病院にいた人達が連れ去られて殺害されたことから,
市総合病院内には当時の状況を説明する展示室がある。
(注2)戦闘終了後に連れてこられた200名以上のクロアチア兵及び市民が殺害された場所。