11月27日,井出大使はモルナル科学・教育・スポーツ大臣を表敬訪問しました。
両国間の科学・教育・スポーツ交流を促進していくための方策について種々意見交換しました。
井出大使からは,クロアチアにとってはEUとの協力が重要であることは理解しているが,それ以外に日本との科学研究や産業分野での協力を維持・強化することは,クロアチアにとっての国益に資すると指摘し,モルナル大臣も全く同感だと述べました。モルナル大臣から現在の同省の活動についての概況の説明があった後,過去,地滑り対策,材料科学などの分野で両国間で科学研究交流が行われてきたことを肯定的に評価し,今後とも継続したいとの意向が表明されました。
井出大使からは,過去の協力は日本のODA予算でかなりが賄われてきたが,クロアチアは日本のODA対象ではなくなったので,今後は新しいやり方で協力を進める必要があると指摘しました。そして独立行政法人科学技術振興機構(JST)や独立行政法人日本学術振興会(JSPS)などの日本側関係機関の取り組みを説明し,特に両国の研究者が連絡と協力を行い,それぞれの研究者達が自国の関係機関に費用面での支援を要望していく必要があるので,そのような方向で両国の研究者達を励ましていきたいと指摘しました。またクロアチアは昨年EUに加盟したので,ホライズン2020などのEUの資金をうまく活用して日本との交流を進めてほしいと要望しました。更に現在3名のクロアチア人学生が「ヴルカヌス・イン・ジャパン」プログラムを利用して日本企業でインターン実習をしていることを紹介し,このような新しい可能性をもっと活用すべきだと指摘しました。
井出大使からは科学技術交流と産業界の協力をうまく結びつけていくことが必要であり,その一例として矢崎総業のザグレブ市内の研究開発センターが非常に成功している良い例だと指摘しました。更に井出大使からはザグレブ大学での日本学コースは設立10周年を迎え,またザダル大学で日本語教育を今秋から開始したり,プーラ大学でも日本語教育開始に強い関心を持っており,日本側としても種々の支援を行っているが,モルナル大臣からも日本学研究・教育強化に特段の理解と支援をいただきたい,そのような努力があれば両国間の協力が更に進展すると述べました。
以上に対し,モルナル大臣からは日本との協力を推進していきたい,是非矢崎総業の研究開発センターを訪問・視察したいとの反応があり,近い将来にモルナル大臣の訪問をアレンジすることになりました。
モルナル大臣はザグレブ大学電気工学・コンピューター学部長も務めた研究者・教育者であり,2014年6月以来科学・教育・スポーツ大臣を務めています。