4月22日~24日,井出大使は地雷に関する国際会議に参加しました。
「第11回国際シンポジウムと機材展示会:地雷の行動2014」には,プレシュティナ・クロアチア政府地雷除去局長(写真1は井出大使と共に),クロアチア地雷除去センター(Croatian Mine Action Center;CROMAC)幹部,トンコビッチ内務次官,各国の地雷処理研究者,
軍,NGO,企業関係者ら,30か国,19の組織から177名が参加しました。
会議では地雷処理のための様々な情報・意見交換が行われ,またクラスター爆弾禁止と処理に関連する情報・意見交換も行われました。
主な発言は以下の通りです。
(1) クロアチアでの地雷処理の状況
- 地雷が埋設されていると疑われる地域:当初の見積もりでは1万3千平方kmとされた。2014年1月時点では613.6平方kmまで減少した。
- 2019年3月1日迄に完全に地雷を処理するとの目標(対人地雷禁止条約(オタワ条約)に定められた期限)のクロアチア国内での達成は可能と考えている。
- まだ7万個の地雷がクロアチア国内に存在すると見積もられている。(当館注:会場で配布されたCROMAC資料によれば,75439の地雷がCROMACの地雷情報システムに登録されており,その内の18349は対戦車地雷,57090は対人地雷の由。県別では,シサク・モスラヴィナ県(16453個),リカ=セニ県(14646個),オシイェク=バラニャ県(14408個)となっている。)
- 地雷がまだ埋設されている地域はクロアチア国内で12の県にわたる(クロアチア国内には21の県あり。)同地域には危険を表す1万2868本の標識が設置されている。
- 過去地雷による被害者人数は1975名。内,死亡者は510名。
- 近年の地雷被害者人数は,毎年数名(一桁)の規模となっている。
- CROMACはクロアチア国民に地雷の危険性についての啓発活動を実施している。地雷埋設地区は農地,山林にわたるので,農民,狩猟者にも警告している。
- 観光客の興味本位の山林,野原などの探検は危険である。もし観光客等が地雷のある地域に入り込んだら,自力で脱出を試みるのではなく,助けを呼んでほしい。
- 地雷が存在している区域は限定されており,標識も立てられているので,観光客には普通の観光をする分には安心してほしいが,地雷がなおも存在していることを忘れてはいけない。
(2) 地雷除去の取り組みで,クロアチアは,コロンビア,リビア,ヨルダン,セルビア等と国際協力をしている。
(3) 地雷除去のためのEUの取り組み(「TIRAMISU」プロジェクト),実際に犬を利用しての取り組み,蜜蜂を利用する可能性を探求しているザグレブ大学教授の取り組み,その他の国際機関,企業,NGOの取り組み等も紹介されました。
(4) 地雷探査・処理機器の屋外デモンストレーションも行われ,270台もの地雷処理機を販売したクロアチアの企業の製品も展示されました(写真2)。
(5) 南東ヨーロッパ各国の政府・民間関係者による対人地雷とクラスター爆弾の廃棄に向けた動きについても情報・意見交換されました。